Amazonによるホールフーズ買収に対する農家の意見は?
この夏アメリカオンライン小売り大手アマゾンがナチュラル・オーガニック食品小売大手ホールフーズを買収したとのニニュースが流れたのは記憶に新しい。この時はこの二つの巨大企業が一緒になってうまくいくのか、ということだった。
リ サーチ会社 NPD group のDarren Seifer さんは “オーガニック食品がもっと幅広い消費者の手に渡るとしたら、それは若い世代のオーニガック食品に対する需要が高まる必要があるでしょう。現在はミレニア ム世代の24%がホールフーズで買い物をしたことがあるといった割合です” と分析します。アマゾンはあらゆる世代のお客さんがいて、頼んだらすぐ届くという便利さを兼ね備えているので、ホールフーズは今までに届かなかった客層の 消費者を掴める事は間違いないでしょう。
この買収はホールフーズが取引している数千以上に上る農家達にとってどのような意味を持つのでしょう?良い?悪い?取引先の中にはDriscoll’s や CalOrganic などの超大手ファーマーもいれば、アイダホ州の RimRock Ranches などの家族経営の小さな農家までいます。
“そ れがホールフーズの良さだよ” と前述の Rim Rock Ranches 第三世代の農家である Jim Hermann は言います。Rim Rock Ranches は ベルーガレンティルやガルバンゾ豆などの豆類を生産し、アメリカ北西エリアのホールフーズに収めているという。 “この二つの豆は我々が生産する作物の中で昨年 最高の収益をあげました。”とホールフーズのビジネスの恩恵を語る。 Hermann のような付加価値のある作物の生産を拡大している農家にとっては、アマゾンの買収はより多くの安定した収益を意味し、それによって得る利益でさらに土壌や 土地にも投資が出来ることに繋がるという。ただ彼の周りの全ての農家がこの買収に楽天的な意見を持っているわけではない。
“作 高と味の品質は逆相関的な関係にある” とカリフォルニア初のオーガニックストロベリー農家の Jim Cochran さんは言います。彼は彼の農場である Swanton Berry Farm の面積をホールフーズ20店舗に供給するために24エーカーまで広げました。Cochran さんはその後徐々にその作面積を12エーカーまで減らしています。量より質を選んだのです。より強い作物を作るためには、作面積を広げるのは得策ではない のです。国内産のイチゴの収穫時期は実はとても短く、年に一度収穫出来れば良いので、需要はあっても年間を通して共有をし続けるのには無理があります”と Cochranさんは言います。
また価格競争も大きな問題です。現在はホールフーズだけでなく、 コストコやウォルマートなどでもオーガニック食品を販売し始めていて、価格は下がり続けています。”これは全ての農家に影響があります。安い価格のオーガ ニック製品を見るたびにどこかの農家が苦しんでいるな、と思ってしまいます”とカリフォルニアのヨロカウンティーの農場 Durst Organic Growers のJim Durstさんは語ります
ア マゾンのCEO Jeff BEzos はアマゾンの揺らぎないビジネスモデルを変えることはないだろうから、スケールメリットを活かした仕入れコストのコントロールをしてくるだろう。 “もしアマゾンが安く仕入れる必要があるならば、アメリカ国内での仕入れは無理だろう。ではそれはどこから来るんだろう?持続可能な方法で生産収穫されて いるものだろうか?認証は信用できるだろうか?ラベルに表示されている表記は信用できるものだろうか?”とDurstさんは疑問視しています。
大 手企業である、Driscall’sなどの見方はまったく逆です。Dricoll’s America の 社長 Soren Bjorn さんは ” どちらかといえば、我々は消費者により近くなったと感じています。12年前までは、チリからアメリカにラスベリーを空輸していました。今では生産技術や遺 伝学によって、今までラズベリーが育てられなかったエリアでも生産が出来るようになりました。現在では全てのラズベリーが最終納品地にトラックで運べる範 囲内で生産されています” と語っています。Bjornさんは多くの農家が生産技術の向上によって生産高も増え、家の近くでも栽培が出来るようになっていることで節約も出来ているの ではないかと見ています。
Bjornさんは下記のようにも語っています。”しばらくの間はホールフーズと取引のある農家は混乱することにな るだろう。だけどAmazonの顧客がカートに ” レンティル、ストロベリー、ベイビーレタス” を入れた時に、その商品が今までより少しだけでも環境などに良い商品であるようになれば良いと思います。平均的なアメリカ国民は1週間に5ドル以下しか野 菜や果物に消費していません。アマゾンなどの企業が参入することで生まれるメリットは、コストが下がるということだけでなく、より多くの人がオーガニック 商品などにアクセス出来るようになるということだと思います。それはアメリカ国民の食生活や食品業界自体の変革につながるチャンスだと思うのです” と。
ホールフーズなどの企業と取引をするためには、ある程度の生産量が必要であり、そのために投資をしてきた農家さんたちもいるのでしょう。Amazon が買収したことで、まだまだ未知数ではあるものの、更に取引規模が大きくなる可能性が高い中、今後それぞれの農家さんがどのように体制を整えていくのかは とても難しい問題ですね。
付加価値商品を付加価値を保ったまま販売していかないと、生産者は疲弊してしまうだけだと思うし、良いものを適正価格で販売出来、生産者も販売者も消費者も喜ぶ仕組みを作っていかなければならないですね。
オーガニック・フェアトレード食品の通販は NIKO TRADING ONLINE SHOP